ゆうあいネットPCVOL

岡山県内の視覚障害者のパソコンライフをサポートするボランティア団体です

1 はじめに

 当会は岡山県内にお住まいの視覚障害者の皆さんのパソコン利用を支援するボランティア団体です。2003年5月11日に岡山県視覚障害者センターにおいて設立総会(49名出席)をしました。設立時の名称は「岡山県視覚障害者支援パソコンボランティア連絡協議会」でしたが、2007年度より「ゆうあいネットPCVOL」に名称を変更しました。
 パソコンボランティアの略称である「PCVOL」というアルファベットをPCトーカー等の音声化ソフトで読み上げさせると「ぷくぼる」と発音します。また、「ゆうあい」とは「友への愛」という意味での「友愛」を意味すると共に、パソボラとユーザとの「あなた(ユー)」と「わたし(アイ)」という関係も意味するものです。

2 受賞歴

 当会の活動は各方面で評価され、これまでに文部科学省と日本盲人社会福祉施設協議会から表彰の栄誉に与りました。ありがとうございます。

2021年12月7日に文部科学大臣から当会に贈呈された表彰状の写真です 2008年6月20日に日本盲人社会福祉施設協議会から当会に贈呈された感謝状の写真です

3 視覚障害者にとってのパソコン

 視覚障害者は情報障害者」とも言われ、新聞・雑誌など晴眼者には当たり前に享受できる多くの情報を自力で得る方法がありませんでした。視覚障害者、特に全盲の方々にとっては、かつては墨字(普通文字)の文章を読んだり書いたりすることは不可能なことでした。しかし、近年の情報機器の進歩によって、パソコンとスキャナを使って墨字の本を読んだり、さらにはインターネットから新聞記事など最新の情報を得たりすることが可能になっています。
 ところが、このように大変便利な道具であるパソコンも、晴眼者とちがって音声だけをたよりにキーボードで操作する視覚障害者にとっては習得するのが難しく、県内においても普及が進んでいません。現在、全国民のインターネット利用率は60%を越えていますが、視覚障害者にあっては10%にも届かず、情報格差は解消していません。行政とボランティアが協力して、こうした状況を少しでも改善していかなければなりません。

4 パソコンボランティアとは

 パソコンボランティアとは、パソコン初心者の方を対象に、その方がパソコンを使いこなせるように指導したり支援したりするボランティア活動のことで、現在では日本各地で活発に行われているものです。パソコンボランティアのことを略して「パソボラ」とも言います。
 岡山県内では、視覚障害者の皆さんにパソコンを指導できる人はたいへん少ないのが現状です。当会では、県内各地にパソボラを育て、岡山県内どこに住んでおられても視覚障害者の方が支援を受けられる体制を作り上げるためにがんばっています。定期的な活動としては、毎月の例会で視覚障害者の皆さんにパソコンの使い方をサポートしたり、視覚障害者の皆さんと楽しく交流したりしています。またメールや電話でのサポート活動をしています。
 なお、視覚障害者のパソコン操作をサポートするためには、マウスを使わず音声ガイドを聞きながらキーボードだけで操作することができる知識と技能を必要とします。正会員の方にはスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を貸与させていただきます。パソコンがちょっと得意な方で、ボランティアをしたいと思っておられる方は、ぜひ当会の正会員となっていただき、パソコンボランティア活動に参加してくだされば幸いです。

5 正会員として入会したい方へ

 まずゆうあいネットPCVOL規約およびメーリングリストのご案内をお読みください。入会申込みメールを出された方は当会の規約およびメーリングリスト参加規定に同意されたものとみなします。会員になると自動的にメーリングリストに登録されますので、ご了承ください。また、会員資格は、視覚障害者のためのパソボラとなる意思のある方で、原則として岡山県内に在住されている方とします。
 なお、正会員のほかに、メーリングリストだけ参加するメーリングリスト会員もあります。詳しくはメーリングリストのご案内をお読みください。
(1)入会申込書の送付先アドレス hara.kouzou@gmail.com
(2)メールの件名(タイトル)の最初に「入会申込み」と書いて下さい。
※迷惑メールと区別するために必ず「入会申込み」と書いてください。
(3)メールの本文に以下の内容を記入して下さい。
 ・氏名
 ・よみがな
 ・住所
 ・電話番号
 ・障害の有無(晴眼者、弱視、全盲)
 ・メールアドレス
  ※メーリングリスト登録用のアドレス

6 視覚障害者の情報バリアフリー

著作:原 広三(ゆうあいネットPCVOL事務局長)
作成:2007年3月
 視覚障害者は「情報障害者」とも言われます。マスメディアに関して言えば、視覚障害者はラジオやテレビの音声情報しか得ることができませんし、新聞や雑誌の点字版はほとんどありません。一般書籍についても点訳・音訳されているものは全体のごく一部に過ぎません。
 しかし近年「情報障害」という視覚障害者のバリアはパソコンやインターネットの利用によって取り除かれつつあります。パソコンにスクリーンリーダーと呼ばれる画面の文字を音声化するソフトをインストールすれば、墨字(すみじ=普通文字)の読み書きができます。また音声ブラウザの利用によってウェブ上にある新聞や雑誌の記事を読むことができます。インターネットの点字図書館もあり、電子データ化された点字図書をダウンロードしてパソコンで読み上げさせることができます。電子メールは視覚障害者と晴眼者(せいがんしゃ=目が見える人)との間のバリアフリーなコミュニケーションツールとなっています。
 このように便利なパソコンですが、視覚障害者にとってはその操作をマスターするのはとても困難なことです。視覚障害者はスクリーンリーダーの音声情報だけを頼りにマウスは使わずキーボードだけでパソコンを操作しなければならないからです。パソコンの電源を入れること、周辺機器の接続、ソフトのインストールなどもパソコン初心者の視覚障害者にとっては困難です。
 また視覚障害者にパソコンを指導できる知識と技術をもったボランティアが少ないために、一般のパソコン教室に行っても対応してもらえないのが現状です。
 私は岡山県で視覚障害者のパソコン利用を支援する「ゆうあいネットPCVOL(ぷくぼる)」というボランティア団体を運営しています。訪問・電話・電子メールなどの手段によりサポートしたり、県内各地で視覚障害者対象のパソコン講習会を開催したりしています。またパソコンボランティアを養成する活動もしています。
 私たちの活動により岡山県内での視覚障害者のパソコン利用者は徐々に増えています。全国各地においてもパソコンボランティアが増えて視覚障害者の情報バリアフリーが実現されていくことを願っています。

※この記事は月刊誌「福祉のひろば」(2007年3月号)に掲載されたものです。